5月16日土曜日の夜9時からは、3週連続でNHKでは「路(ルウ) ~ 台湾エクスプレス ~」が放送される予定です。
台湾セレクションマガジンでは、これから何度かに分けて路(ルウ)の紹介をしていきます。
路(ルウ)は日本と台湾で共同制作をしたドラマで、作家の吉田修一氏が2012年に発行した小説「路」が原作となっています。
日本側はNHKが、台湾側は公共放送のPTSが共同でドラマ制作を行い、ロケ地は台北、高雄、台中、花蓮など台湾全土で2ヶ月もの期間をかけて撮影がされました。
花蓮では日本のドラマとしては初めてとなる、台湾の先住民であるアミ族の祭りの撮影もおこなわれました。
台湾のさまざまな地域が楽しめるのも、このドラマの大きな見どころの一つです。
台湾では、首都である台北と台湾第二の都市である高雄を結ぶ高速鉄道が2007年に開業しました。
それまではおよそ4時間を要していた移動をおよそ1時間半へと大幅に短縮させ、台湾の交通インフラ、そして経済の起爆剤としての大きな役割が期待されました。
そして、この高速鉄道建設という一大国家プロジェクトを手掛けたのが、日本の商社を中心とした企業でした。
「路(ルウ) ~ 台湾エクスプレス ~」は、台湾高速鉄道の建設プロジェクトを背景にして、台湾現地で日本人と台湾に住む人々との繋がりや友情など、温かい心の絆を描いた作品です。
・放送開始日: 2020年5月16日(土) 夜9時 NHKドラマ枠 全3回
・放送局:NHK総合、ほか
※台湾でも現地時間の夜9時に公共放送PTSで放映がされる予定です。
あらすじ
台湾を舞台にしたこの物語は、1999年の年末、東京の商社である大井物産の社内から始まります。
本来仕事納めのこの日は、毎年の年末とは違う何かソワソワした雰囲気が社内に漂っています。
いつもであれば皆がリラックスして、ちょっとした何かお祭りのような気持ちで仕事納めの日を過ごすのですが、この日ばかりはそうした様子ではありません。
それは、大井物産が他の日本の企業と共同して交渉を進めていた大プロジェクト、台湾での高速鉄道の建設計画に関する結果が通知されてくる日だったからです。
台湾という国を巻き込んだこの国家プロジェクトは、日本連合に対して、フランスとドイツによるヨーロッパ連合が当初優位に交渉を進めていました。
一度はヨーロッパ連合の受注かと思われたなかで、日本は新幹線の技術への信頼を全面に打ち出し、官民一体となった追い上げをしてきました。
そうした中で、最終的にはどちらがこの国家プロジェクトの優先交渉権を獲得するのかに注目が集まっていたのでした。
大井物産の担当部署に一本の電話が鳴りました。
フロアの誰もが固唾を飲んで、祈るような気持ちで電話を受けている、このプロジェクトリーダーである山尾の表情を見守っています。
山尾が叫び、車両システムの優先交渉権を大逆転で日本の新幹線が受注したことが伝えられ、大井物産社内は大歓声に湧きました。
台湾に新幹線を走らせるという一大プロジェクトには、大井物産からは入社4年目の社員である多田春香(女優 波瑠)の台湾出向が決まりました。
春香は台湾には一度旅行で訪れたことがあり、その大学時代の一人旅では、台湾で一人の青年に出会っていました。
その青年はエリック(台湾俳優 アーロン)といい、ひょんなきっかけから、自分のスクーターに春香を乗せ台北の案内をしてくれたのでした。
たった1日の出会いではありましたが春香とエリックはお互い何か特別な感情を抱くものの、春香は日本に帰国してから連絡が取れなくなってしまいます。
あれから6年という歳月が経ち、春香は台北出向が決まり、台湾新幹線の建設チームの一人として再び台湾の地を踏むことになるのです。
メイキング映像
台湾の公共放送PTS制作
出演者
波瑠(役: 多田春香)・・・東京の商社、大井物産の入社4年目の社員。
寺脇康文(役: 山尾一)・・・春香の上司で台湾新幹線プロジェクトのリーダー。
井浦新(役: 安西誠)・・・春香の先輩。日本に妻子を残し、台湾に単身赴任。
高橋長英(役: 葉山勝一郎)・・・旧制台北高校出身、台湾で生まれ育ち、終戦後日本に引き揚げてきた。
アーロン(役: エリック)・・・春香が大学時代に台湾を旅行した際に出会った台湾の青年。
シャオ・ユーウェイ(役: ユキ)・・・台北のクラブのホステス。安西誠の心のよりどころとなる台湾人女性。
ヤン・リエ(役: 中野赳夫/呂燿宗)・・・旧制台北高校出身、葉山勝一郎の学生時代の親友。
リン・メイシュウ(役: 台湾料理屋の女性)・・・春香が通い親しくしている料理屋の女性
作家・吉田修一
吉田修一氏は以前台湾を旅行した際には、故郷の長崎にどこか雰囲気が似ていることを感じ、台湾への親近感を感じるようになったことを話しています。
路(ルウ)は2012年11月に発刊された長編小説で、台湾の文化や生活様式のみならず、そこに住む人々の気持ちといった内面に至るまで、日本と台湾という2つの国の人々を丁寧に描いた作品です。
1968年、長崎県生まれ。
1997年「最後の息子」で文学界新人賞を受賞し、デビュー。
2002年「パレード」で第15回山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で第127回芥川賞を受賞。
2007年「悪人」で第61回毎日出版文化賞と第34回大佛次郎賞を受賞。
2010年『横道世之介』で第23回柴田錬三郎賞を受賞、2019年「国宝」で第69回芸術選奨文部科学大臣賞、第14回中央公論文芸賞を受賞。